今回はモルモットの下顎膿瘍についてご紹介します。
以前モルモットの不正咬合についてご紹介しましたが、不正咬合により膿瘍ができてしまう場合があります。
この子は元々不正咬合があり、他院で治療をしていましたが、おそらく奥歯の歯根に細菌が悪さをして膿瘍ができてしまいました。抗生剤を飲んだり、膿を出す処置をしていましたが繰り返すため、当院に紹介来院されました。
右の頬が腫れており、穿刺して排膿しても繰り返すということだったので手術による造窓術を行いました。
歯に起因する膿瘍は取り切るのは困難であるため、一部に穴を開けた状態にして、そこから排膿・洗浄を行い膿を無くすという方法です。そもそも膿瘍になると抗生剤が効きにくいため、洗浄を行うのが効果的です。
このように切開すると白い膿が出てきます。この穴を広げ、縫合します。
膿があった場所は洗うと空洞ができます。
このように縫合します。この状態で通院していただき定期的に洗浄を行います。この時に取った膿は細菌培養検査を行い、ここに何の細菌がいて、どの抗生剤が効くのかを調べます。この菌に効く抗生剤を使うとより効果的です。
治療を行ったところ、処置してから約3週間くらいで膿瘍は消失し、腫れもなくなり、毛も腫れてきれいになりました。
ただ、歯根による膿瘍はそもそも歯が原因のため、また再発する可能性もあるため今後も要注意になります。