今回ご紹介するのはハムスターの頬袋脱です。
ハムスターは左右にごはんを蓄えられるように頬袋が存在します。通常は頬袋が外に見えることはなく、ほっぺたが膨らんで見えるだけですが、何らかの原因で頬袋が外に出てしまうことがあります。
原因としては、炎症や感染、パンや炊いたお米などのでんぷん質が豊富で粘性の高い食事は頬袋から出しにくくなり、頬袋脱へとつながってしまいます。他にも様々な要因でなります。
この子はこのように頬袋が反転して出ていました。出血もしており、触ると硬いものが先端に触れました。通常、頬袋脱が起こると、頬袋は反転して出てくるため硬く触れるのがごはんの可能性はありません。
そのため、おそらく頬袋に腫瘍ができ、その影響で頬袋脱が起きたのだと考えられます。
治療は頬袋脱の程度によりますが、軽度であれば戻して外側から縫合しますが、壊死を伴ったり、炎症がひどく整復が不可能な場合は切除を行います。今回は腫瘍が疑わしいため、切除しました。
切除した頬袋を病理組織検査に出してみると、粘液肉腫という悪性の腫瘍でした。
頬袋脱は出血を伴ったりすることも多いため、もし口から何か出ていると思った場合早めに来院してください。