今回はヒョウモントカゲモドキの腹壁ヘルニアをご紹介します。
皮膚の構造から説明しますが、皮膚の下には腹膜があり、その間には皮下というスペースがあります。そのため、皮膚を切ったからといって急にお腹の臓器が見えるわけではありません。まずは腹膜がみえ、その腹膜が開くとお腹の臓器などがみえるようになります。
この腹壁ヘルニアというのは、皮膚の下にある腹膜の一部が裂け、臓器が皮膚の下の皮下というスペースにでてしまうことをいいます。
原因は通常、いきみによるものが多いため、ヒョウモントカゲモドキだと卵詰まり、便秘、消化管閉塞によるものが多いと思われます。
いきむことによる薄い腹膜の一部が裂け、臓器が皮膚の下に出てきます。
そとにでてくる臓器は避けた場所により様々ですが、脂肪体や消化管などが多いです。
症状は様々でお腹が膨れてきて気づくケースが多いと思われます。
この子はわかりずらいですが、お腹の一部が膨れています。
検査の結果、腹壁ヘルニアになっているのとお腹に水が溜まっていることがわかりました。
腹壁ヘルニアは腹膜の一部が裂けているため、薬では治らず手術が必要になります。
開腹をしたところ、肝臓の一部が出ていました。原因はわかりませんが、肝臓を中にしまい穴を縫合するという形になります。
ヘルニアとしてでた臓器が障害を受けるケースもあるため注意が必要です。
この子は縫合して特に再発することもなく、お腹の水もたまることはありませんでした。
腹壁ヘルニアには原因がある場合が多いので、原因の改善も必要になります。