ウサギのお腹の中にしこりがあるというのは時々見られますが、今回はそこまで多くない珍しいケースをご紹介します。
この子は3歳の女の子ですが、他院でお腹の中にしこりがあるということを指摘され当院に紹介来院されました。
触診でお腹の中に大きな腫瘤があることが確認されました。
超音波検査では腫瘤の内容物は消化管内容物の可能性が考えられましたが、はっきりとは診断が困難であったため、手術を行い、摘出による根治を目指しました。

開腹すると、十二指腸の間膜に大きな腫瘤が確認されました。

裏返すと、消化管にくっつくように腫瘤があり、膵臓も巻き込んでいます。
腫瘤を穿刺してみると、中からは消化管内容物が採取されました。
つまり、この腫瘤は消化管にできた憩室ということです。原因としては、過去に牧草などの未消化の繊維が消化管を穿孔し、そこに被膜ができ、部屋ができたということが考えられます。消化管の一部に通常ではない部屋ができ、そこに食渣などが入っている状態です。
場所や程度、どこに穴が開いているかによっては切除できることもありますが、基本的に外科切除による経過はよくないといわれています。
無治療でも年単位で問題なく過ごせる場合もありますが、いつかこの腫瘤が大きくなっていくこともあります。
この子も特に症状はありませんでしたが、腫瘤自体は膵臓近くにあったため、切除困難でした。
手術後の経過は問題なく、ごはんはよく食べてくれました。
あまり多いケースではありませんが、こういうケースも時々見られます。