今回はウサギの精巣捻転についてご紹介します。
ウサギの精巣の病気は時々みられます。
通常ウサギの精巣は陰嚢に降りていますが、まれに陰嚢に降りずにお腹の中に残ってしまうことがあります。
これを潜在精巣といいます。ウサギの精巣は正常でもお腹に入ったり陰嚢に降りたりしますが、陰嚢に全く下りない状態のことをいいます。
これの何が問題かというと潜在精巣になってしまうとお腹に残っている精巣が腫瘍化しやすいという報告があります。
そのため、お腹に残ってしまった場合は早めに去勢手術を検討することが多いです。
今回は9歳のウサギで食欲不振を症状に来院されました。過去に膀胱結石があったことがあるため、X線検査を実施したところお腹の中にある程度大きい腫瘍があることがわかりました。2ヵ月前のX線検査では写らなかったため急速に大きくなったことが予想されました。
まずは食欲不振の治療をおこなっていき、ある程度状態が回復したところで手術を実施しました。
開腹すると大きく壊死した腫瘤がありました。構造を確認すると原型をあまりとどめていませんが精巣であることがわかり、血管と精管が捻転して精巣が壊死していました。
捻転が起こると、組織の血流が途絶えてしまうため壊死してしまいます。
この腫瘤を切除し、さらに反対の精巣もお腹の中から切除しました。
病理組織検査に出すと、お腹の精巣はセルトリ細胞腫であることがわかりました。
精巣捻転はウサギではまれな疾患です。原因として考えられるのは、お腹の中に残った精巣が腫瘍化し、大きくなっている途中で血管などが捻じれてしまったと考えられます。
この子は手術後の経過は良好でご飯も食べるようになりました。
精巣がしっかりと降りているかどうかは健康診断などで確認することが大事になります。