今回はグールドモニターの卵巣捻転についてご紹介します。
こちらは3月におこなわれた日本獣医エキゾチック動物学会で発表した内容になります。
爬虫類の生殖器疾患は卵胞が発達し停滞してしまう卵胞うっ滞、卵が産めなくなる卵塞などがあります。
しかし、まれにおなかの中で発達した卵胞により卵巣が捻転してしまうことがあります。

この子は、おなかが膨れてきていて、元気もなくなってきたため来院しました。
超音波検査では卵胞の発達が認められたのと体腔内液の貯留も認められたため手術を行うことにしました。

開腹すると卵胞が捻転しており、一部うっ血していました。こちらは手術により切除しました。

切除後です。左にあるのが捻転した卵巣で、右が卵管になります。
爬虫類の卵巣捻転は稀な疾患です。海外も含め、過去の報告ではグリーンイグアナ、ヒョウモントカゲモドキ、パンサーカメレオンなどで報告はありますが、グールドモニターを含むオオトカゲ科ではありません。自分自身もヒョウモントカゲモドキで何回か経験があります。
爬虫類の卵巣捻転の症状は元気消失、食欲不振、腹囲膨満など非特異的症状が認められ、卵胞うっ滞との鑑別が困難な場合が多いです。
しかし、卵巣捻転は急性症状を示す場合があるため早期の外科的介入が必要であると考えられます。
爬虫類の卵胞うっ滞は, 慢性経過をたどる場合が多いですが、 卵巣捻転が起こると急性の症状を示し、亡くなってしまう場合もあります。