今回はカブトニオイガメの卵管脱をご紹介します。
今回の子は推定20歳以上のカブトニオイガメです。

お尻から何か出ており出血しています。卵管が出ています。
大事なのはこれを戻すだけではよくないということです。
写真ではわかりにくいですが、この卵管はそのまま出ています。通常、卵管というのが出る場合反転して粘膜がみえてでてきますが、これはそのままでています。つまり、中の総排泄腔などが破れている可能性が高いということです。
そもそも卵管が出てくるということはなにかしらの原因がお腹の中にある可能性があるため、戻すだけでは根本的な原因を見逃してしまいます。
この子はお腹の中に卵などはありませんでしたが、総排泄腔などが破れている可能性もあるため手術を行いました。

当院では水棲ガメの卵管や卵巣を取る場合は基本的に甲羅を切らず足の付け根を切る前大腿窩切開による方法を行っています。その方が甲羅を切らずにすみます。これは出ていた卵管を引っ張っているところですが、この子は卵管の根元が裂けていました。
そのため両方の卵管と卵巣も切除しました。

これは卵巣になります。

傷口はこのような形になります。
手術後は調子もよく、ごはんもすぐに食べ始めました。
この子は卵管から出血していたため、早めに来ていただき早めの手術ができたことが良かったと思います。
縫った皮膚は傷口の様子を見て1~1.5ヵ月で抜糸をして終了になります。
