お知らせ

フトアゴヒゲトカゲの胃腫瘍(カルチノイド)

今回ご紹介するのはフトアゴヒゲトカゲの胃にできた腫瘍です。

この子は1か月前から食欲が落ちているとのことで来院されました。今年の初めに他院で血液検査をおこなっていましたが特に問題はありませんでした。

当院で血液検査をおこなったところ、血糖値が測定限界値を超えて高値を示していました。

また、超音波検査で胃に1cmの腫瘍があるのと卵胞が発達していることがわかりました。

肝臓の辺縁も不整になっており播種していることも考えられました。

血糖値が高く、胃に腫瘍があるとなるとフトアゴだと一番に考えられるのはカルチノイドという腫瘍です。

そのため、同日に胃の腫瘍と卵胞摘出を行いました。

胃にできた腫瘍を取りました。胃の粘膜に固着しているのと悪性の可能性が高いため、腫瘍を取るために胃の部分切除を行いました。

同時に両方の卵胞摘出も行いました。

手術後の経過は悪くなく手術後6日目くらいで自分で小松菜を食べ始めました。

退院前に血糖値を測定したところ正常範囲内まで下がっていました。

腫瘍を検査したところ、やはり神経内分泌腫瘍(カルチノイド)といわれるものでした。

フトアゴのカルチノイドは以前から報告があるものですが、治療法が確立されておらず、悪性度が極めて高いものになります。

退院1週間後の再診では、今のところ明らかな転移は見られず、ごはんもよく食べているとのことでした。

しかし、過去の報告の多くは転移することも多いため、経過には十分注意が必要です。


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