今回はブタの尿道閉塞をご紹介します。
ブタでは泌尿器のトラブルはよく見られることがあります。特に尿石症という石ができることがあります。
この子はまだ1歳ちょっとのブタですが、元気がなくなり夜間の病院にいったところ尿道で何かがつまっていておしっこが全くでず、膀胱がパンパンの状態だったそうです。尿道のつまり解除を試みたそうですができずに終わり膀胱に針を刺しておしっこを抜くだけ抜いたそうです。
そのため、当院に来院されました。
まずレントゲン検査では明らかな結石はみとめられないものの、膀胱がパンパンでした。超音波検査では膀胱内に沈査があり、おそらくその沈査がつまったのではないかと考えました。
通常他の動物だと尿道でのつまりはカテーテルを尿道の先端から挿入し、膀胱まで入れるのを試みますが、ブタは尿道の構造状カテーテルを膀胱まで入れるのが困難です。
色々検査してみるとおそらく尿道から5cmのところで大きなものがつまっていそうですが、それより奥にもつまりのようなものがあるのがわかりました。
このまま尿道につまりがある状態だとおしっこが出ず、腎不全になってしまうのも時間の問題であったため、尿道に別の穴を作り、そこからおしっこを出させる尿道造瘻術を実施しました。
方法は尿道を切開し、尿道粘膜と皮膚をつなげ人工的におしっこが出る道をつくるというものです。
手術直後は血尿が出ましたが、退院時には落ち着き、おしっこもよく出るようになりました。
つまっていたのはこのようなものが多量につまっていました。造瘻後はその穴から石がたくさん出てきました。
この結石は結石分析に出しましたが、成分は不明でした。
こちらは手術後3週間後の傷口の写真です。一見するとどこが穴かよくわかりません。
広げるとこのようにおしっこが出る穴になっています。今のところおしっこが出にくいや感染などはありませんが、今後も経過を見ていく必要があります。
ちなみにこの処置は尿漏れになる処置ではないため、自分でおしっこを出したいときに出すことができます。