今回はキバラガメの卵管脱をご紹介します。
この子は1か月前からの脱腸を症状に来院されました。1か月前に脱腸した際、他院で脱腸した部分を押し戻し肛門を縫い脱腸した部分がでないような処置をおこないましたが、何度も脱腸と縫合を繰り返し、脱腸した部分が壊死してきて食欲もなくなったため当院にセカンドオピニオンで来院されました。
当院に来院時点では肛門が縫合したばかりであり、脱腸もしていなかったため何がでていたかは正確にはわかりませんでした。
X線検査、超音波検査を実施したところ、膀胱内に多量の蓄尿と総排泄腔内に卵材らしきものがあり、この子の過去の状況から卵管脱を疑い手術をおこないました。
手術をおこなったところ、総排泄腔内に多量の腐敗した卵材と左卵管の卵管脱が認められました。
出ていた臓器は卵管口から反転してでた卵管でした。
1ヵ月の経過があったため、脱出していた卵管は癒着と壊死がありましたが、総排泄腔を切開し卵材をすべて取り除き、卵管口を総排泄腔の一部を一緒に切除することで無事に手術は終わりました。
右側にみえる黒いのが腐敗した卵材の一部と反転してでた卵管の一部です。今後も卵関係による病気を防ぐため、両方の卵巣と残り卵管もしすべて切除しました。
また当院ではなるべく本人の負担を減らすため、甲羅を開けず足の付け根からお腹の中にアプローチする前大腿窩切開をおこなっています。
ただ状況によっては甲羅を開けなければいけない場合もありますのでその時の状況によって判断しています。
付け根を切って手術した場合は傷口はこのような感じになります。
手術後の調子は良好で、もちろんお尻から臓器が出ることもなく1週間で退院しました。
退院時の写真ですが、かみつく元気もあり良く動き回る元気も出てきました。傷口の抜糸は大体1か月後くらいになります。
1週間後の再診ではごはんも食べるようになりとても元気でした。
カメの卵関係の病気は多く、いきみにより卵管などがでてしまう場合があります。
基本的にお尻から何か出ている場合はお腹の中でなにかが起こりいきんで出ている場合が多いです。
そのため、状況によっては早急な処置や手術になる場合もあるため、早めの来院をお願いいたします。